「うちの子に何か教材や習い事をさせた方がいいかな。。」
「とりあえず進研ゼミ(チャレンジタッチ)がいいかな?」
と、考えてはいませんか?進研ゼミは全国に271万人もの会員がおり、5~6人に一人のお子さんが利用している、日本一普及している有料の教材ですので、子供を飽きさせない工夫をしており、勉強が嫌いなお子さんには最適な教材ですが、一方で、勉強が得意な子、成績を劇的に上げたい子には向いている教材とは言えません。
なぜなら、271万人の会員数を満足させるために、どうしても平均的な子に合わせるように設計されており、平均から離れている子には向いていないからです。本日は教育業界で5年働いていたプロの筆者が、進研ゼミについて7つのポイントに分けて解説いたします。
進研ゼミは「タブレット」と「紙の教材」を選べるのだが、今後はチャレンジタッチ(タブレット)が主流になる
進研ゼミと言うと「赤ペン先生」というイメージを持たれている親御さんも多いと思いますので、進研ゼミでは「チャレンジタッチ」というタブレットと「従来の紙の教材(チャレンジ)」が選べるようになっています。
◆進研ゼミは2つのタイプの教材から選べる
①タブレット型(チャレンジタッチ)
②紙の教材(従来のチャレンジ)
進研ゼミを運営するベネッセは、コロナウイルスの影響から、人との接触が少ない「オンラインニーズ」が社会全体で高まったことを受け、オンラインコンテンツに力を入れて行く方針であり、チャレンジタッチ(タブレット教材)を今後どんどん推進していくことが2020年3月期の決算報告で発表がありました。
ベネッセ:2020年3月期決算説明会
そのため、今後は徐々に紙の教材が少なくなり、タブレット教材の比率が増えてくるはずです。進研ゼミのホームページを見ても「チャレンジタッチ」ばかりを訴求しております。
しかし、親御さんは我が子のために「紙」が良いのか?「タブレット」が良いのかは真剣に考えなくてはなりません。
「チャレンジタッチ(タブレット)」と「紙のチャレンジ」のどちらが良いのか?子供によって使い分けるべき!
どちらのタイプの教材を選ぶべきかは、結論から言えば、下記の通りです。
・親が言っても勉強をしない子 ==>チャレンジタッチ
・じっくり考えるのが好きな子 ==>紙のチャレンジ
なぜなら、タブレット教材は、ページ(画面)をめくりやすい特徴があり、また動画や画像があるので、子供に勉強の興味を持たせやすいという特徴がありますので、チャレンジタッチは勉強が嫌いな子や集中力が続かない子に向いている教材です。
一方で紙の教材はタブレット教材に比べて、疲れにくいので「長文を読ませたり」「思考力を使う問題」に優れているというメリットがありますので、子供の思考力を伸ばしたい!勉強は嫌いじゃないのでしっかり伸ばしてあげたい!というお子さんに向いております。
それでは、チャレンジタッチと紙のチャレンジがあることを踏まえて、進研ゼミの7つのポイントに分けて、解説いたします。
ポイント①学校の授業について行くためにつくられた教材
進研ゼミは日本一普及している「通信教育」の教材です。下記をご覧ください。チャレンジタッチを含む、進研ゼミは「こどもちゃれんじ」から「高校講座」まであわせて271万人の会員がおります。ちなみに日本人の子供人口は、政府の統計によると1,533万人ですから5,6人に1人は進研ゼミの会員なのです。
日本人ならば知らない人はいないというくらい普及しており、もはや社会学習インフラともいえるのが「進研ゼミ」なのです。
◆進研ゼミの運営会社「ベネッセ」の2020年4月の決算資料
ベネッセ:2020年3月期決算説明会
ただ、会員数が多いということは、必然的に教材は「平均的成績の生徒」に合わせた内容になってしまい、進研ゼミの教材のコンセプトは
学校の授業の進度に沿った内容の教材
になります。つまり成績が平均から離れるほど、成績が優秀な子には、カンタンすぎて向いていないと言えます。
✔成績のすごく優秀な子には向かない
✔公文のように「先取り学習」はできない
進研ゼミをお子さんに入会させる親御さんの多くが
「とりあえず進研ゼミに!」
「値段も安いし、有名だし!」
「なんとなく、なにか子供にやらせたいから」
「ダイレクトメールが届いたから」
「サッカーが好きで塾に行かせる時間がないから!」
といった理由が多いのですが、進研ゼミはあくまで学校の学習をサポートするものですから、勉強が得意な子、あるいは先取り学習をしたい時は向いていません。
ポイント②チャレンジタッチはアニメーションが多くてゲーム感覚で進められる!
チャレンジタッチは良く言えば「ゲームみたいだから、勉強してくれる!」というメリットもあるのですが、実際は結構ゲームの要素が強く、随分とアニメーションに凝っているです。
このYouTubeを見ていただくとわかる通り、実際に問題を解く時間よりもアニメーションの要素が非常に強くなるのです。冒頭で申した通り、チャレンジタッチのようなタブレット教材は「勉強が嫌い」というお子さんに非常に向いている理由は、このようにゲーム感覚で学習を進められるためです。
私の知人のお子さんもチャレンジタッチをやっていますが、
お子さん「ゲームみたいで面白い!」
と毎日やっております。学校の成績が低い子や、勉強が嫌いという子には、まず進研ゼミをやらせてみてもいいかもしれませんが、成績優秀な子をさらに伸ばすという教材ではないのです。
ポイント③要領の良い子なら1ヶ月分を数日で終えてしまうこともある
進研ゼミが、タブレットを使ったデジタル教材になったので、
✔テレビを見る前やコマーシャルの間
✔ご飯の前、お風呂の前、寝る前
など、「すきま時間」でより学習しやすくなってきました。進研ゼミは一日2教科、10分ずつを奨励しています。
時間を有効活用できるので、非常に良いことですが、一方で、要領の良い子なら、毎月25日にダウンロードした、一ヶ月分の教材を数日で終えてしまうという例もあるのです。仮に半月で進研ゼミの一ヶ月分を終えてしまえば、残り半月はタブレットで学習しない時もでてしまうことがあるのです。
もし、先取り学習が可能で、先に進めていくことができれば、良いのでしょうが、進研ゼミの新しい教材は、毎月25日にならいと、翌月分の教材を手に入れることができません。
勉強習慣を我が子に身につけさせたい方には、一日の進めて良い分量などを親がしっかり言い聞かせる必要があります。
ポイント④チャレンジタッチの問題の量が圧倒的に少ない!
下記のYahoo知恵袋でも、多くのママさんが発言しておりますが、チャレンジタッチは一回当たりの学習が1科目10分で終わるように設計されているため、問題料が少ないのです。
Yahoo知恵袋:進研ゼミの数学は問題が少なくないですか?
これは進研ゼミが悪い!というわけではなく、271万人もの会員数がいるので、その多くが進められる進度を計算すると、どうしても問題料が少なくなってしまう面があるのです。
成績の良い子であれば、少ない問題数でも、算数の公式が頭に入っているため成績に影響しませんが、要領が悪い子だと、反復練習が必要です。特に算数は計算問題は繰り返し行うことが大切です。この点は公文のプリント学習とは真逆のコンセプトなのがチャレンジタッチなのです。
進研ゼミで努力されている家庭は、別途ドリルを買って、計算量をカバーしているご家庭もあります。中には下記のように公文のドリルを購入する方もいます。実は公文の出版社からAmazonでも購入できる問題集が販売されております。
ただ、チャレンジタッチは小学1年生ですと月々2,900円~で、全ての教材がカバーできるので、問題数が少ないからといって、値段が高いわけではありません。
ポイント⑤子供が進研ゼミをする一番のモチベーションは「プレゼント」
進研ゼミで学習すると「努力賞ポイント」がたまります。そのポイントによってプレゼントと交換することができます。ポイントが15ポイントとか少ないと「ペン」や「ノート」ですが、240ポイントも貯めると「大きなバック」と交換することができます。
◆進研ゼミの努力ポイントの一例(プレゼントは沢山あります!)
進研ゼミ:努力賞プレゼント
筆者も進研ゼミをやっている子の親御さんと会話しましたが、子供がプレゼント欲しさに、チャレンジタッチを一生懸命やっている子が多いのです。
勉強が嫌い、苦手という子には大変魅力的な制度です。もちろんこのプレゼントの原価は非常に安くおさえられており、上記の写真の一番グレードの高いプレゼントである、バックも5千円相当に見えますが、アパレル業界の原価率の基準は20%であり、おそらく1,000円程度となります。
このプレゼントの原資は親が一年で払う3万円以上の月謝から出ており、親御さんがそのプレゼント代金を追加で負担することはありません。
ポイント⑥月一回のダウンロード日に新しい教材がなかなかダウンロードできない!
全国に271万人もの会員が、25日になれば一斉に新しい教材のダウンロードを開始するために、運が悪いとダウンロードが60%のところで止まったりして、なかなかダウンロードすることができないことが多々あります。
ベネッセも、サーバーを増強したりして対応しているはずですが、会員数が半端じゃないので、なかなか改善されておりません。もし、ダウンロードが止まった場合は、下記のブログに対応方法が上手く書いてあるので、ためしてみると良いでしょう。
ただし、ベネッセも下記記事によると、自社サーバーからマイクロソフト社のAzureというクラウドサーバーを利用したり、仮想マシーンを配置するなど、障害が起きた時に悪影響が及ぼさないように、システム開発を行っております。
なにせ会員数が271万人もいるとなると、サーバーに相当な負担がかかるため、また、進研ゼミが月謝が安いことからも、サーバーだけに費用と労力を使うこともできず、運営側は相当な苦労があることが予想されます。(サーバーを堅牢にすると、それだけコストがかかり月謝も高くせざるを得ないからです)
ポイント⑦チャレンジは競合各社と比べるとずいぶん安い教材
進研ゼミのライバルである「公文」や「スマイルゼミ」と月謝を比較してみましたが、全科目込みで2,980円であることから、非常に安い教材であることがわかります。
◆進研ゼミのライバル7社と比較
とくに公文は3教科で23,000円を超えるなど、学習塾と比べれば費用は10分の1程度となります。ただ、繰り返しますが、「進研ゼミ」は全国に271万人もの会員をかかえる教材のため、教材の内容は授業に沿った平均的なものとなり、また問題数も少ないので、成績を伸ばすためのものというよりは「学習習慣をつける教材」と思いましょう。
では、進研ゼミの満足度の裏返しとも言える退会率はどれくないなのでしょうか?
進研ゼミの退会率は毎年40%!つまりほとんどが辞めています!
下記は筆者が書いた過去記事ですが、進研ゼミは毎年100万人が退会するにいたっています。
進研ゼミのビジネスモデルは「ダイレクトマーケティング」と呼ばれる、全国で子供の顧客リストを獲得して、ダイレクトメールを送る方法により、新規会員を獲得し、進研ゼミは新規会員によって利益を得ているのです。
ですから、この40%の退会率というのは、結構高い数字になっており、決して有名教材だからといって高い満足度を出している教材ではないのです。
また、進研ゼミはスポーツクラブと同じ利益構造があり、もし、チャレンジタッチ会員全員が赤ペン先生に提出すると、採点は非常に大変なのですが、多くの会員は休眠顧客(進研ゼミをもっているがやっていない)がいるためになりたっているビジネスモデルなのです。
進研ゼミのアクティブ数(毎月課題をしている会員数)の数字が公表されていないので、わかりませんが、おそらく相当な割合になるのではないでしょうか?
まとめ:進研ゼミは成績をあげるための教材ではなく、子供に何かやらせたい!という親のニーズに応えた教材です
会員数271万人もいる巨大な通信教材である進研ゼミは、そのビジネスモデルからも「平均的な教材」でなければならず、多くの子供に対応した平均的な教材ではありますが、全ての子供に対応した教材ではありません。
会員数が多いので、月謝もかなり安く抑えられるので、「子供に何かやらせたい」と漠然と考えている親御さんには悪くない教材です。
現在はコロナウイルスの影響により、教師や他の先生と対面で授業する学習塾や習い事が敬遠されており、進研ゼミを行う子供は増えております。
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